「新しい職場に慣れるまでがキツイ」
「入ったばっかりで右も左もわからない」
新しい環境に身を置いたことがある人だったら一度は味わったことのある苦労だと思います。
学生だったら転校したときや新しい部活に入ったばかりのとき。
社会人であれば転職や部署異動をしたばかりのとき。
これまでの生活と違う環境に少しでも触れる機会が生まれた人であれば、必ずこのストレスを味わうことになります。
私も長いことコンサルタントとして働いていますが、コンサルタントという仕事は基本的にクライアント先に出向くことが多いので毎回このストレスを味わうことになります。
「新しいクライアントと仕事を上手く進めることができるのだろうか」
「自分の能力以上の仕事を求められたらどうしよう」
「怖いクライアントだったらイヤだな」
こんな風にストレスに感じるのは日常茶飯事です。
そんなとき、私はいつも考えていることがあります。
今回はそのことについて少しだけお話させてください。
「辛いのは最初だけ」は正確じゃない
新しい環境に身を置いたとき、私は先輩社員から「辛いのは最初だけだよ」とアドバイスをもらったことがあります。
そのアドバイスをいただいたときはそれを励みに頑張っていたのですが、あるプロジェクトでは最初から最後まで本当に苦しかったという体験をしました。
かと思えば他の案件では本当に初期の段階からストレスを感じることがないという体験もしたことがあります。
この差ってなんでしょう。
私はこの差を生んでいる原因は「根付くスピードの差」だと考えています。
この言葉は抽象度が高いので多くの意味を持ってしまうと思いますが、簡単に言ってしまえば新しい組織で一人前として扱われるための知識と行動力を獲得するまでにかかる時間です。
新しい環境に身を置いたばかりのころは知識も行動量も少ないので、いわゆる「なにもわからない状態」に他なりません。
しかし、新しい環境に長くいればいるほど知識は増えてきます。
そうすると段々と辛さは減っていくのではないでしょうか。
それでも辛さが完全になくなることはありません。
その辛さをなくすためには獲得した知識を行動として示すことで、新しい環境から「一人前」として認めて受け入れてもらう必要があるからです。
つまり、私が最初から最後まで辛かったと感じたプロジェクトでは、私の知識・行動量のどちらかが不足していたのでしょう。
逆にすんなりと辛さを克服できたプロジェクトでは、たしかに知識も行動量も周囲と比べて多かった気がします。
なので、新しい環境に身を置く辛さを早く解消したい人は、その新しい環境で必要とされる知識と求められる行動量というハードルを素早く乗り越える必要があるんです。
これこそ私が考える「根付く」の正体です。
結構なエネルギーが必要なんですよね。
だから大変だしストレスがかかるんです。
まずは「教えたがり」を仲間にする
ここまで「根付く」のお話をさせていただきましたが、新しい環境になじめないストレスは少しでも早く解消したいものですよね。
上にも述べたように「根付く」ためには求められる知識量と行動量を満たす必要があります。
この2つの要素のうち、すぐに達成できるのは知識量です。
知識がない状態で行動をしても試行錯誤で時間がかかるばかりになりますので、ほんとうにスピードを求める場合には知識から攻めるべきです。
では、求められる知識量を満たすために何をすればよろしいのでしょうか。
私の経験からこれには明確な答えがあります。
それは「教えたがり」を最初に仲間にすることです。
新しい環境に入ったとき、まずはメンバーを全員見渡してみてください。
1人1人と少しでも会話すればわかると思いますが、必ずといってよいほど「教えたがり」の人がいます。
まずはその人との信頼関係を構築してください。
その人と仲良くなればこちらから求めないでも情報を提供してくれるだけでなく、どんな小さな質問であったとしても気軽に聞くことができます。
しかもそういう世話焼きの人は必ずといってよいほど関連する情報まで教えてくれるはずです。
ただし注意点があります。
それは、この「教えたがり」の人がまだ知識量も行動量も不足していて、新しい環境の中で一人前として受け入れられていないのであれば近寄ってはダメです。
その場合は別の人を選んでコンタクトを取るようにして下さい。
分からない者同士で集まって解決する場合もありますが、基本的には解決しない問題のほうが多いですからね。
この見極めは特に念入りに行いましょう。
クセ者を取り込んでいく
知識を獲得したら行動量を満たす必要があります。
この行動量は慣れてくれば自然と増えてくると思いますが、ここでもスムーズに進めるためのコツがあります。
それは行動量を達成するために障害となる要因を解決しておくこと。
簡単に言ってしまえば、いろいろな行動をするときに邪魔になる人と予め仲良くなっておくということです。
感の良い人であればお気づきだと思いますが、知識量も行動量も達成するためには人脈が必要です。
不慣れな環境であったとしても人脈があれば、解決すべき問題の道のりをたくさん作ることができます。
人脈作りが面倒だと感じる人が多い気持ちも分かりますが、仕事をする上ではどうしても必要なことなんです。
もちろんこれは職種にもよるとは思いますが、人脈があることで損をすることはありません。
たまに変な政治に巻き込まれる可能性があるくらいですが、自分はそうした政治に関わらないというスタンスだけしっかりと確立することができていれば問題ありません。
さて、話は戻りますが行動量を満たすためには予め邪魔になる人たちと仲良くしておこうということでした。
じゃあどうやって仲良くなるのかという質問が次に出てくると思いますが、相手と共通する話題で自分が困っていることを素直に相談してみてください。
このとき、相手が何かしらの答えを持っているという話題だとベストです。
私のこれまでの経験だと、組織のなかで邪魔だと思われている人は「頼られたい」人であることが多いように思えます。
「これはあなたにしかわからないと思うので、失礼だと思いますが質問させてください」
というスタンスでまずは入口を作っていきましょう。
最初の入口さえ出来てしまえば後は簡単です。
ただコミュニケーションの頻度を週に3回以上取れば良いだけ。
そのときの話なんて雑談でぜんぜんOKです。
仕事に関係のない話だって問題ありません。
これを続けておくだけで、障害になると思っていた人が仲間になります。
相手を説得する場面であったとしても一緒になって解決策を考えてくれるようになります。
あとはその流れに従って行動を重ねるだけ。
ここまで出来たとき、あなたが感じていた新しい環境に対するストレスはなくなっていると思います。
おわりに
社会人になって私が一番最初にぶつかった壁が「新しい環境に馴染めないストレス」でした。
このストレスは自分でも気づかないうちに肥大していきます。
自分でも気づかない間に心を削り、だんだんと体調に出てきます。
でもその時には既に相当悪化しています。
そうなってしまっては回復するまでにかなりの時間を要することでしょう。
もちろん時間をかければ治ります。
ただ、どれだけの時間がかかるかは人によって変わるでしょう。
数日で治る人もいれば数年かかるひとだっています。
本当にひどい人は数十年かかるかもしれません。
しかし、そのストレスに対する解決方法をあらかじめ知っておけば前持った対応が可能です。
上でご紹介した対応はあくまで私の経験則なので当然ながら万全だとは思いません。
それでも少しは軽減することができるはずです。
もし昔の私と同じように悩まれている方はぜひ試してみて下さい。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
今日はここまで。